VOL.04 『小規模ホーム・グループホームもくれん』のいいとこ発見!
『特別養護老人ホーム天神』の主任主事Kさんと主任生活相談員Nさんが『小規模ホーム・グループホームもくれん』を見学し発見されたこととは?
出雲市湖陵町にある「小規模ホーム・グループホームもくれん」は、地域密着型の家庭的な環境の中で、地域とのつながりを大切に自立した日常生活の支援に取り組んでいる。
今回は、「特別養護老人ホーム天神」の主任主事Kさんと主任生活相談員Nさんが訪問し、「小規模ホーム・グループホームもくれん」の自立支援や食支援、看取りケアや職員研修など幅広い取組について、施設長Mさんと介護支援専門員YさんとFさん、調理師Oさんにお話を伺った。
それでは『小規模ホーム・グループホームもくれん』のいいとこ発見!
地域とのつながりを大切にしています
大きな「かかし」にびっくりしました!なんだか見たことのあるキャラクターの女の子ですね。 |
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わかりますか(笑)?これは、地域で開催される「かかしまつり」へ出展するためにみんなで作ったものです。毎年恒例となり、回を重ねるごとにクオリティが上がっています。 | |
大作ですね! 地域行事への参加は楽しみや交流が増えて良いですね。 |
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色々な行事参加はもちろん、普段から地域とのつながりを大切にしています。今は新型コロナの影響で開催できませんが、食支援の取組紹介として開催した「もくれん食堂」は、地域の方々と食事を楽しむ交流の場にもなっていました。 |
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地域の方を招いて交流できる取り組みはとても良いですね。 |
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地域の皆さんはいつも温かく、畑で採れた野菜を届けてくださる方もおられます。 |
話題に挙がったとても大きな「かかし」。天神の二人を出迎えてくれた。
取材日にも野菜が届けられていた。
食事で心も体も元気に!「低栄養改善・食支援」とは?
開所当初から、安心安全な食材にこだわることはもちろん、栄養バランスを考えた家庭的な食事の提供に力を入れている「もくれん」。
栄養&ボリューム満点の自慢の昼食をご紹介いただいた。
今日の献立:おからナゲットとサラダ/小松菜と油あげの煮浸し/ひじきの酢の物/豆乳スープ/ご飯
実は、在宅高齢者の約2割が「低栄養状態」であると言われています。 背景には粗食が良いとされてきた日本の食文化があり、特に高齢者は野菜中心の食生活となりがちです。 そこで私たちは「低栄養改善・食支援」について学び、不足しがちなタンパク質を摂ることを強化した栄養価の高い食事を提供しています。 ここではBMI指数が20以上を目標に、栄養士や調理師たちが日々の食事を考えています。 |
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どれくらいのカロリーがあるんですか? | |
今日の献立1食の総カロリーは1182kcalあります。 |
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それは凄いですね! |
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食が改善したことで、這って動いていた方が歩いて50m先の商店へ買い物に行けるようになった事例もあります。 |
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かなりのボリュームですが、皆さん完食されるんですか? |
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ほとんどの方が完食されますよ。 |
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ここでは、私も含め他の職員も利用者さんと一緒に食事をとります。 |
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食事を提供して終わりではないんですね。 |
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わいわい一緒に作ることが好きで、みんなでお好み焼きやたこ焼きも作りますよ。 最近ではフルーツサンドなど、若者文化も取り入れて私たちも楽しんでいます。 |
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みんなで食事を囲んで楽しく過ごせる形はとても良いですね。 |
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食事の準備にも関わって頂くことで、役割や存在意義が感じられると思っています。 |
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食事風景や日常の様子をホームページやfacebookでも紹介しているので、ぜひご覧ください。 |
気持ちに寄り添い、主体性のある暮らしの継続をサポート
グループホームを見学しながら、取組や日頃大切にされている想いをお聞きした。
ここでは日課はつくらず、それぞれにお話を楽しんだり、お花を活けたり、料理や手芸など、自分の好きなことを選んで自由に過ごされています。 | |
皆さん思い思いに楽しんでおられますね。 普段の関わりで大事にされていることはありますか? |
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いつも楽しく過ごせればと、色々なことを考えていますが、押し付けにならないよう、何をするにもまず伺って、ご本人の意思を大切にしながら接することを心がけていています。 |
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お気持ちを大事するのはとても大切なことですよね。 |
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一人ひとりが穏やかな生活を送れるように、プライバシー確保も大切にしています。時には、職員の目を気にせずくつろげることも必要だと思うので、あえて廊下の死角となる場所にソファーを置き、憩いスペースを設けています。廊下は直線ではなく角のある造りになっていて、場所によって特徴が違うので、自分の部屋が覚えやすいというメリットもあるんです。 |
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利用者さんへの気配りが素晴らしいですね。 |
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グループホームは思い入れのある自宅ではないし、職員は家族の代わりにはなれない現実があります。家族と離れ他人同士の共同生活で、寂しさや不安、煩わしさがあるのは自然なことなので、気持ちに寄り添い支え合いながら、主体性のある暮らしを継続できるようサポートしたいと考えています。 |
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とても素敵な関わり方をされていますね。 |
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残された最期の時間をご家族とゆっくり過ごしたい方のために、「交流室」というお看取りの部屋をご用意しています。 |
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どうしても重篤になれば病院や、特別養護老人ホームに移られることが多いので、グループホームでお看取りの体制があることは凄いですね。 |
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医療的な処置が必要な場合も、訪問診療医や看護師、薬剤師と連携しながら迅速に対処できる体制が整っているので安心です。 |
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こうやって皆様の最期に関われることは有難いことで、一つ一つの経験から多くのことを学んでいます。 |
小規模ホームとグループホームの連携で自立した生活をバックアップ
施設の中は、どの空間も温かみが感じられて家庭的な印象を受けました。 |
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基本的に、在宅生活を長く送ってもらいたいという想いがあり、そこにつながる支援を心がけています。 |
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在宅の暮らしをイメージした環境で、体の機能を維持できるよう支援されているんですね。 | |
皆さん「家が良い」という希望が第一にありますが、介護支援や安全性、食支援など施設の良さもあるので、それぞれのメリットとデメリットのバランスを見ながら、ベストな支援を考えることが大事です。 そういう点で、ここは小規模ホームとグループホームが併設しているので、その方の状況やタイミングに合わせ支援を変えられる良さがあります。 |
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環境を整えながらフォローすることで、良い状態が維持でき、症状が回復することもあり、中にはグループホームから自宅に帰られた方もいらっしゃいます。 | |
それは凄いですね! | |
認知症の方にとって施設の移行は大変なこともありますが、事業所が一貫しているので情報共有も容易で、顔なじみの職員が関わる安心感から、不安や負担も少なく比較的スムーズに移行することができます。 |
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事業所の特徴を活かして、柔軟な対応をされているんですね。 |
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そうですね。 |
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訪問した際はお世話をしながら、趣味や得意なこと、普段と変わった様子がないかまで、常に情報収集しています。気づきのアンテナは、簡単に身に付くものではありませんが、個々にスキルや知識など特性を発揮し現場で役立てています。 |
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在宅サービスでの視点の違いに驚きました。 |
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「もくれん」から「天神」さんへお世話になる場合もあるので、その際は事業所間でも入所に至る総合的なプロセスを確認して共有することが大事ですね。 |
職員の意識とチームワークを高める環境づくり
皆さんそれぞれが色々な視点で考えておられ、介護支援に対する姿勢が素晴らしいと思いました。 こちらでは、どのような職員研修をされていますか? |
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ここでは職員研修として、ビジネスゲームの一つである「マネージメントゲーム」(以下MG)を導入した教育に力を入れています。 (※昭和51年に西順一郎がソニーCDIで開発した経営教育の手法で、株式会社もくれん代表取締役の上田英範は公式インストラクター) |
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それはどういったものでしょうか? | |
「人生ゲーム」や「モノポリー」をイメージすると分かりやすいですが、このようなゲームをベースに、疑似体験しながら本格的な経営の構造や企業会計学を学べることが特徴で、全国で多くの企業などが導入しています。 |
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研修で環境整備の大切さを学び、倉庫の整理整頓をしたことで、物を探す時間が短縮され、以前より利用者さんと関わる時間を多く確保できることにつながりました。 |
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また、倉庫内にはボードを設置し、日頃の気づきや改善点を思いついた時に付箋に貼って共有できるようにしました。 |
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このように職員たちが研修の学びを活かし、普段から生産性のある時間を増やすことを意識し、自発的に行動できるようになりました。 |
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皆さんが意識を高め合うことで、業務改善につながっているんですね。 |
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さらにゲームを通して事業のシミュレーションから費用対効果の根拠も導き出すことができ、安心して自社事業に取り組めるという効果もあります。 |
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具体的にはどんな研修でしょうか? |
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EG研修では、脳科学理論に基づき思考と行動の特性を分析したプロファイルによって、自分をはじめ周りの仲間や組織全体への理解を深めることができます。 |
職員間で日頃の気づきや改善点を共有し合うボード。
自発的な行動を温かく見守る環境が成長につながる
「もくれん」では現在、特定技能実習生としてベトナム国籍のGさんを雇用している。
とても自然に馴染まれていましたね。 | |
働き始めてまだ数ヶ月ですが、介護の仕事に熱意を持って取り組んでいます。 本当に良い人材に出会いました。 |
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一緒に働いてみていかがですか? | |
Gさんは言葉遣いがとても丁寧で、必ず敬語で話されます。 |
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Gさんは何に対しても、とても一生懸命で、いつも笑顔で明るく、利用者さんとも上手にコミュニケーションが取れています。 |
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Gさんの利用者さんへの関わり方を見ると、何か力になりたいと自発的に考えて行動ができているので、他の職員が上手に育ててくれているんだなと、嬉しく思いました。 |
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とても良い関係性ができていますね。 |
介護に向き合う想いは同じと実感
お話を伺って、皆さんが利用者さんの人生や、歩みを大事にしながら支援されていることが良く分かりました。 私たちが掲げる「普通の暮らしの継続」という理念にも通じるところが多々あり、支援形態や関わり方は違っても、介護の考え方の原点は同じなんだと感じました。 |
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とても勉強になり、たくさんの新たな視点が加わりました。 これを機会にまた今後も交流が続くと嬉しいです。今日はありがとうございました。 |
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もちろん、ぜひ今度は他の職員さんも一緒に遊びにいらしてくださいね! |
座談会を終えて
『小規模ホーム・グループホームもくれん』のいいとこ発見!いかがだったでしょうか?
法人規模は違っても、皆さんそれぞれの立場から、温かい気持ちで介護に従事されており、根底にある想いは同じであると感じました。
今回訪問したお二人は、盛りだくさんの取り組みから多くの視点に気づき、改めて支援の在り方を見直すきっかけとなったのではないでしょうか。