当法人は出雲市内を中心に高齢者の介護支援、児童の放課後デイサービスなど各種福祉事業を展開してきました。
そんな中、ご縁があって斐川地区でもデイサービスを開設することになり、管理者として立ち上げから携わらせていただきました。
おかげさまで現在37名の利用者様にご登録いただいています。

利用者さんとの関わりの中でどんなことを大切にされていますか？

私たちは福祉のプロとして皆さんのお役に立てるよう、専門知識と技術はもちろん、常に尊厳を大切にしながら接することを意識しています。
法人の経営理念に「福祉事業を通して、地域の日常と希望を支えます」とあるのですが、人によって状況が違えば“あたり前の日常”も違います。
なので、利用者さんそれぞれにとっての“あたり前な日常”がベストな状態で送れるように、また明日への希望が持てるように皆さんの暮らしを支えたいと思っています。

開放感があってとても明るいですね！
外からイメージしていたよりも広くて驚きました。

ありがとうございます。皆さんが一日を通して寛ぐ場所なので、居心地良く快適な空間にしたいと思いました。
特に広々とした明るい空間にしたかったので、窓の取り方や壁の色にもこだわりました。
また、間取りはスムーズな介助動線を意識して廊下のないシンプルな造りになっています。
コンパクトにまとまっていて使い勝手が良く、とても満足しています。
床暖房も付けたので冬でも温かく快適に過ごせています。

足元が温かいのは嬉しいですね！
どの空間もよく考えられていますね。

また、ここではご利用者一人ひとりに個別のロッカーを用意していて、その日に持ってこられた手荷物や帽子、手袋などはロッカーに入れて保管します。

これは、とても良いですね！

これなら貴重品や手荷物を一括管理できて安心で、渡し間違いや忘れ物も防げますね！
早速、私たちの施設でもこういったロッカーを設置できないか検討してみたいと思います。

他にも入浴や歯磨きの介助、午睡時の床セッティングなど、参考になることばかりでした。
特に入浴やトイレは、タイミングや声掛け、誘導の仕方など、利用者さんに合わせた工夫が必要なので色々なお話を聞けて良かったです。

利用者さんの気分や状態によって介助の流れや内容も変わるので、状況を見極めながらアプローチすることが大切ですよね。
私たちも色々試してみながらその都度改善策を探っています。
何か一つでも参考になれば嬉しいですね。

今日はクッキングの日で、ベビーカステラづくりをしています。
中に入れる具材を準備したり、焼けたらひっくり返すという簡単な調理ですが、職員たちも利用者の皆さんと一緒に楽しんでいます。

とても賑やかで楽しそうですね！
皆さん積極的に参加されていて自立度が高い印象を受けます。

これが不思議で、誰か一人がやっているのを見ると「自分もやろう」と意欲的になるようで。たまに白熱する時もあるんですが(笑)。

そうそう！
でも、やってみたいという気持ちは大事にしています。
包丁を使う時は危なくないよう見守りながら、無理のない範囲でできることをしていただいています。

こういった企画はどなたがされるんですか？

ここでは、一日ごとに入浴介助や食事の提供、レクリエーションなど、それぞれに担当者を決めて当番制で行っています。
2週間先まで決まっているので、各自が当日までにレクリエーションの企画を考えます。

事前に計画する時もあれば、「晴れているから外出しよう！」と、当日の天気を見ながら決めることもあります。

外出は皆さん喜ばれますよね。

先日は出雲大社の北島さん（北島國造館）へお参りしたんですが、皆さんとても喜ばれましたよ！
ただ、中には気分が乗らなかったり、歩くのが不安な方や車椅子を使いたくない方もおられます。
そんな時は近所へ散歩に行くだけでもリフレッシュになるので、その都度気持ちに配慮しながら出かけています。

ネーミングが素敵ですね！
取り組みについて詳しく教えていただけますか？

開所して3年を迎えたので、今までにない何か変わった試みをしてみようと思い立ち、皆さんに喜んでもらえる企画を考えました。

その名の通り「夢を叶える」という企画で、利用者さんとご家族に「今年やってみたいこと」をお聞きして、第3希望まで挙げた中から1つを叶えるというものです。
なるべく第1希望を叶えてあげたいので、内容を調整しながら1年をかけて順番に行っています。

具体的にはどんな希望がありましたか？

例えば、喫茶店やお寿司屋さんに行きたいとか、海へドライブや花見がしたいと外出を希望される方もあれば、野菜作りや絵を描きたいという希望まで様々です。

買い物へ行きたい方も多いですね。
中には、ご家族から「eスポーツ（電子機器でゲーム対戦）をさせてあげて欲しい」という要望もありました！
操作が複雑なものは難しいので「太鼓の達人」だったらできるかな？と計画中です。

それは良いですね～！
楽しそうです。

普段、家ではなかなか難しくてできないことも、私たちがサポートすることで叶えられたらと思っています。

実際プロジェクトをやってみて反応はいかがでしたか？

皆さん喜ばれていて、楽しかった様子を家で話される方もおられます。
帰る頃には忘れてしまう方もおられますが、それぞれがその瞬間を楽しんでもらえたらそれだけで嬉しいですね！

それが一番ですね！
そして、この企画は私たち職員のやりがいにも繋がっています。
日頃から色々なことに挑戦したいと思っていたので、みんなとても張り切っています。

ここの職員は普段から何にでも意欲的ですが、今回は特に「プロジェクト」とあって使命感が大きいようで(笑)。
皆さんが自発的に計画を立てて熱心に取り組んでいますよね。
成功させたい！という思いの強さが伝わってきます。

それは凄いですね。
職員のモチベーションアップにも繋がっているんですね。
プロジェクトを進めるなかで大変なことはありましたか？

外出の場合は安全に移動できることが一番重要なので、職員の体制を考えながら日程を調整したり、担当者を振り分けるのが難しかったですね。
他にも利用者さんの組み合わせなど実際に細かく詰めていくと色々な工夫が必要でした。
ただ、大変な分だけ達成感もひとしおです。
皆さんに喜んでもらえたら嬉しいので、これからも続けていきたいですね。

とても素晴らしいプロジェクトですね！

先日、地域の方から「施設の横を通ると、いつも笑い声が聞こえてきて楽しそうですね」と声を掛けてもらいました。
嬉しかったですし、そこはずっと大事にしたいと思いました。
特別なことは何もしていませんが、これからも皆さんが笑って過ごせるように家庭的で楽しい雰囲気づくりを心がけて、「ここに来て良かったな、楽しかったな」と思ってもらえるデイサービスでありたいですね。