当法人は、それぞれ特徴をもった3つのデイサービスを運営していて、その一つがこちらの「金太郎の家さざんか」です。
ここでは、なるべく家と同じように過ごしていただきたいと思い民家をそのまま利用しています。
縁側から庭の緑を眺めたり、冬はこたつを囲み、我が家のようにゆったりくつろげる雰囲気を大切にしています。

家庭的でとても温かい印象を受けました。

落ち着いた雰囲気が良いですね。

ありがとうございます。
皆さん和の空間に安心されるようで、お昼寝から目を覚ました時にふと障子が見えるのが良いと言われる利用者さんもおられます。

普段は活動棟で過ごし、食事の時には隣の建物にある食堂へ移動します。

段差がありますが大丈夫ですか？

皆さん慣れると体が覚えるようで意外と躓かれないんですよ。
移動の時は職員も気を付けて声掛けしますが、逆に段差があることで注意深く歩かれます。
また、適度な負荷がかかることでリハビリにもなっています。
自然と体を動かす習慣が身に付くようで、ここへ通うことで生活にメリハリが出て体調が整ったという声もいただいています。

それは凄いですね！

ここでは日常の生活介助やレクリエーションのほかに、それぞれが趣味を楽しむ時間も大切にしています。
習字や手芸が好きな方は、当法人の本館（金太郎の家やまぶき）で定期的に開催しているクラブ活動に参加されます。
皆さん思い思いに楽しんでおられますよ。

書かれた習字は施設内の壁に飾り、皆さんにも見てもらっています。
四季折々の言葉から季節の移ろいが感じられて心が和みます。

どれも素敵な作品ですね。

それぞれが好きなことをクラブ活動として楽しめるのは良いですね！

本館にある2つのデイサービスからも参加されるので、賑やかな雰囲気のなか色々な方と交流できるのも楽しみの一つです。

また地域との繋がりも大切にしていて、毎年正月明けにはここで地域の方と一緒に“とんどさん”をしています。
長年、色々な地域行事を先導してこられた利用者さんたちから教わることも多いんですよ。

皆さんよく知っておられるので頼もしいですよね。
他にも地域の方に畑作業を手伝ってもらったり、春には近所のお宅に招いてもらってドクダミ摘みや筍掘りに出かけるなど季節ごとに交流を楽しんでいます。

いつも気に掛けてくださるので大変ありがたいですよね。
これからも皆さんが住み慣れた場所で暮らし続けられるよう、積極的に活動の場を外へ広げて地域交流を図りたいと思っています。

地域の方と密な交流ができていて良いですね。
自然が身近にある環境が羨ましいです。

こちらでは、「働くデイ」として色々な活動をされていると伺いました。
具体的な取り組みを教えていただけますか？

取り組みの中で気を付けておられることはありますか？

一番は利用者さんの気持ちが最優先であることです。
やはり一人ひとり得意なこと、好きなこと、苦手なことが違うので、様子を見ながら職員間で情報共有し、連携を取りながらサポートしています。

例えば、一緒に出掛けても畑作業はせず車から見学するだけという方もおられます。
そういった場合は外に出るだけでも気分転換になるので無理強いはしません。

また、帰宅願望があって室内活動が難しくても玄関先の掃き掃除なら大丈夫という方もおられます。
認知症は症状や状態に合わせて柔軟な対応が必要なので、その方に合った提案が大切です。

ケアマネさんとも一緒に、どうやったらここで生き甲斐を感じながら過ごしてもらえるかを考えています。
徐々に慣れる方も多いので、ご家族と相談しながら臨機応変に対応し、「また行きたい」と自然に思ってもらえるよう根気強く寄り添うことを心がけています。

職員がしっかり連携し、一人ひとりに気を配った対応をされていて素晴らしいですね。

ある利用者さんに一年を振り返った感想をお聞きしたら「色々な活動ができて、ここの職員さんにも出会えて感謝だわ。」と言ってくださってとても感激しました！
その方は私を下の名前で呼んでくださるのですが、距離が近づいた気がして本当に嬉しかったですね。

ゆっくり関係性を築くことが大切ですね。
だから、このように色々な活動が広がっていくんだなと納得できました。

こちらでつぶした空き缶は回収業者に買い取ってもらい、門松や収穫した野菜は近隣の福祉施設などへ販売もしています。
皆さん、達成感に満ち溢れた表情で帰って来られますよ。
そして、そこで得た収入の使い道は利用者さんに決めていただいています。

それは良いですね～！！
例えばどんなことに使われるのですか？

皆さん甘いものが好きなのでたい焼きを買ったり、甘味処へ出かけたり。
回転寿司を食べに行くこともありますよ。

自分たちで稼いだお金で何を買うか決めるのも楽しみですね！

食べ物以外にも色々あって、作業の時に着るジャンパーや運動用のボールを買ったこともあります。
お揃いのデザインや色選びを悩んだり、買ったボールを箱から出して空気を入れたり、そんな時間もわいわいしながら一緒に楽しませていただいています。

今年は、その収益で忘年会をしたいとリクエストされました。
おでんを食べようということで、買い物に行って材料や飲み物を選んだり。
忘年会の準備も皆さんとても楽しそうです。

なんだか本当に仕事仲間の会みたいですね！

利用者さんの中には、ここへ「仕事に行く。」と言って来られる方もおられますよね(笑)。

そうそう！「良い職場を紹介してもらってありがとう。」と感謝される方もおられますね。

まさに「働くデイ」ですね。
お話を聞いていると、デイサービスへ行くという感覚ではなく、“自分のしたいことをしに行く場所”という感じがして新鮮でした。
選択肢の幅も広く、大工仕事など男性の利用者さんが取り組みやすい活動提案など、とても参考になりました。

皆さんとても意欲的で「今度は何をしようか？」と、自分からやりたいことを提案されます。
これからも活動を通して、働き手の一人として社会と関わりを持っていることを実感し、生きがいに繋がるよう支援していきたいです。

今回見学させていただいて、それぞれの施設によって特徴や活動の違いがあることを実感しました。
私たちの施設では、全体で活動することが多かったので、こちらのように個々で趣味を楽しむクラブを設けても面白いなと思いました。

「私たちなら、どんなスタイルができるか？」新しい視点が増え、色々な方法を考えるきっかけをいただきました。

そんな風に言っていただき恐縮です。
何よりまずは自分が認められていると実感でき、安心して過ごしてもらえる場所にしていきたいです。

そしてこれからも、生きてきた歴史や経験、得意なことが日々の生活と結びつく活動を意識しながら、画一的なものではなく、それぞれの思いに添った支援を続けていきたいと思います。