『グループホーム萌』のいいとこ発見!メイン
(前列)左から、グループホーム出東ララの介護支援専門員Aさんと施設長Uさん。(後列)左からグループホーム萌の介護職員Sさん、専務Sさん、介護職員Nさん、施設長Sさん。

『グループホーム萌』のいいとこ発見!0

グループホーム萌とは

出雲市斐川町学頭にある「グループホーム萌」は、認知症対応型共同生活介護事業所として「笑顔溢れる生活」を理念に、その方らしく自立した暮らしが送れるよう家庭的な環境づくりと地域の関わりを大切にした支援を心がけている。

今回こちらを訪れたのは、「グループホーム出東ララ」の施設長Uさんと介護支援専門員Aさん。
「グループホーム萌」の専務Sさんと介護職員Sさん、Nさんに施設を案内していただきながら、特徴的な設備や利用者さんの参加意欲を上手に引き出す取り組み、また職員一人ひとりの成長に合わせた研修体制などについてお話を伺った。

【今回の出演者】
萌 施設長Sさん
萌 専務S
萌 介護職員 Nさん
萌 介護職員 Sさん
出東ララ 施設長 Uさん
出東ララ 介護支援専門員 Aさん

それでは『グループホーム萌』のいいとこ発見!

温泉が利用者さんと家族、地域を繋ぐ「癒しと交流の場」に

萌 専務S

当施設の特徴として、まずご紹介したいのは日本三大美人の湯の一つとしても有名な「湯の川温泉」の湯を引く岩風呂です。

出東ララ 施設長 Uさん 造りがとても素敵で、お庭を眺めながらゆっくり体を癒せて気持ち良さそうです。
萌 専務S

皆さんに好評で、遠方から来られるご家族さんにも喜ばれています。
そして、この岩風呂は地域交流の場にもなればという思いで、利用者さんやご家族だけでなく一般の方にも無料で開放しています。

出東ララ 施設長 Uさん

それは知りませんでした!
地域の方も喜ばれますね。

萌 専務S

また岩風呂とは別の浴室からも温泉が出ます。
「今日は、お風呂はいいわ」と乗り気でない方も「温泉の湯が沸いていますよ」と声を掛けると、「せっかくだけん」と入られるので、入浴をスムーズに促すきっかけとしても役立っています。

さらに、「美人の湯」というだけあってお湯の性質が良いようで、白髪が黒髪になられた方もおられるんですよ。

出東ララ 施設長 Uさん

それはすごいですね~!

萌 専務S

この地域では温泉が日課だった方も多いので、こうやって施設でも今までと変わらず暮らしの楽しみを継続ができ、地域交流の支援ができることも、ここの立地を活かした利点だと思っています。

『グループホーム萌』のいいとこ発見!1「グループホーム萌」の最大の特徴は岩風呂の温泉があること。

住み慣れた地域で、その方らしく自立した暮らしを継続

萌 専務S

こちらでは、農業をされていた方が多いこともあって、敷地内の農園には畑だけでなく田植えや稲刈りができるよう田んぼもつくっています。

出東ララ 施設長 Uさん 凄いですね!
この発想は思いつきませんでした。
作業は皆さんでされるんですか?
萌 専務S

はい、通常の田んぼよりも高くして、柵もあるので車いすの方でも楽に作業ができます。
「もう出来ない」と諦めていた方が感覚を思い出して「懐かしい」と喜ばれている姿を見ると嬉しいです。
小さな田んぼですが、自分でできる喜びや達成感のある生活をしてもらいたいので、皆で新米を味わって「来年もやりたい」と言ってもらえるとやりがいを感じます。
また、毎年近所の方が気に掛けて手伝ってくださるので、とても助かっています。
地域の皆さんの温かい支えがあってこそ続けてこられたと思います。

『グループホーム萌』のいいとこ発見!12

『グループホーム萌』のいいとこ発見!2施設の農園では季節の野菜づくりも楽しまれている。玄関には収穫したばかりの見事な野菜が並んでいた。綺麗に手入れがされ、草一つない畑は利用者さんたちの手で管理されているのだそう。

さらに、建物をご紹介していただきました

萌 専務S

建物は2階建てで各階を1ユニットとし、それぞれに9つの部屋を設けて最大18名の利用者さんが共同生活を行っています。
皆さん、お部屋にお気に入りの家具を持ち込まれて、ご家族の写真を飾るなど、それぞれに居心地の良い空間づくりをされています。

『グループホーム萌』のいいとこ発見!5

『グループホーム萌』のいいとこ発見!4各階には1部屋ずつ、洋室と和室がセットになった特別室も設置。ゆったりと寛げる広さがあるので、夫婦での入居にも対応が可能となっている。

出東ララ 施設長 Uさん

どの部屋も窓が大きく明るいですね。
廊下も広く、開放的で気持ちが良いです。
お部屋ごとの入り口に表札と写真が飾ってあるのも素敵ですね。

萌 専務S

こちらは、お出かけや行事の度に撮影した写真から、笑顔の素敵なベストショットを選んで飾っています。
写真でご自身の部屋がわかるので迷われることもありません。

出東ララ 施設長 Uさん

これはいいアイディアですね!
皆さんとても良い表情をされていますね。
また、とても静かな時が流れている印象で、皆さん穏やかに過ごされていますね。

萌 専務S

そう感じていただいて嬉しいです。こちらでは、あえてテレビをつけていないんですよ。これによって利用者さんとのコミュニケーションを大事にできますし、雑音が無いことで集中力が高まるのか、ここに入るまでは耳が聞こえないと言われていたのに、聞こえるようになった方もおられます。

出東ララ 施設長 Uさん

それは凄いですね。
こういった静かな環境づくりがコミュニケーションだけでなく、身体機能を高めることにも繋がっているんですね。
2階の利用者さんは階段で上がり降りされるのですか?

萌 専務S

身体の状態にもよりますが、足腰も鍛えられるので可能な限り階段を使っていただきます。
もちろん職員も付き添いますが、皆さん普通に上がり降りされていますよ。

出東ララ 施設長 Uさん

健康的でとても良いですね。

萌 専務S

2階も基本的には1階と同じ造りですが、実はこちらに理美容室があるんですよ。
利用者さんにいつまでもおしゃれを楽しんで欲しいという思いから、開設当初から設けていて、皆さんとても喜ばれています。

出東ララ 施設長 Uさん

これは嬉しいですね。私たちもそうですが、髪が綺麗だと気持ちも明るくなりますよね。
そして、廊下にあるのはポストですか?

萌 専務S

はい、こちらも開設当初から設置している手作りポストです。
皆さん、ご家族に向けたお手紙を楽しみに投函されますよ。

出東ララ 介護支援専門員 Aさん

これもまた趣向を凝らした素敵なアイテムですね!
建物を見させていただいて、本当に色々なところに暮らしを楽しむ工夫が施されていて、利用者さんを想う温かい気持ちが環境に表れているなあと感じました。

『グループホーム萌』のいいとこ発見!6

『グループホーム萌』のいいとこ発見!11

自己決定を大切に、意欲を引き出す発想豊かな工夫

出東ララ 介護支援専門員 Aさん

普段の取り組みや関わり方で大事にされていることはありますか?

萌 専務S

私たちは理念にも掲げている通り、利用者さんに笑顔溢れる生活を送って欲しいと願っています。
そのために、日頃から皆さんが楽しく過ごせるよう仕掛けを考えますが、こちらが一方的に行動を決めるのではなく、気持ち良く受け入れてもらえるよう利用者さんの意思と意欲を大事にしています。
様子を見ながら気持ちに配慮した声掛けや接し方を心がけ、利用者さんが自己決定できるよう働きかけています。

出東ララ 施設長 Uさん

それはとても大事なポイントですね。

萌 介護職員 Sさん

普段の生活や作業もですが、レクリエーションへの参加も強制ではなく意欲的に参加してもらえるよう工夫しています。
内容はもちろんですが、思わず参加したくなるように興味を引くポスターをつくって声掛けをしています。

萌 専務S

例えば、実際は定員数に縛りが無くてもあえて先着順にしたり、参加無料という表記を強調して特別感を演出しています。
視覚の情報はとても効果的で、このポスターを見て、「これは参加しなくちゃ」と周りにも参加を促してくださることも。
ワクワク感が芽生えて、皆さん楽しそうに参加してくださいます。

出東ララ 施設長 Uさん

なるほど、確かにこれはつい参加したくなりますね。

萌 専務S

「今月は何があるかな?」と楽しみにされたり、一緒に参加する方同士で会話が弾んだり。
自己決定されたことで活動にも意欲的で、何より自然と皆さんの笑顔が増えていることが嬉しいです。

出東ララ 介護支援専門員 Aさん

この発想は、ぜひ参考にしたいと思いました。
こういったアイディアや企画発案の担当は決まっているのですか?

萌 専務S

特に企画担当は決めておらず、職員たちが自発的にやってくれています。

萌 介護職員 Sさん

色々な企画を考えますが、研修で学んだことからヒントを得ることもあって、思いついたらすぐに企画書をつくって提案します。
例えば、夏の脱水予防にお茶や飲み物だけでなく水ようかんでも水分補給できると知り、「簡単だったら皆で作れるかも?」と「水ようかんづくり」を実施しました。
実際皆さんの反応も良くて、やってよかったなと思いました。

萌 介護職員 Nさん

私は物づくりを通して利用者さんと接することが好きなので、夏はうちわづくり、年末は門松をつくるなど季節を感じられる企画を考えています。
他の職員が企画したイベントが盛り上がっていると、次は自分もさらに良い企画をしようと、お互いの発案が刺激になってモチベーションアップにも繋がっています。

出東ララ 介護支援専門員 Aさん

こういった他の施設の取り組みを知ることは、とても参考になりますね。

出東ララ 施設長 Uさん

アイディアも素晴らしいですが、担当制ではなく自発的に取り組んでおられることにも感心しました。年代も様々な職員が、考えを共有して物事に向かうのはエネルギーが必要なこともありますが、私たちももっと色々なアイディアを出し合って企画をしてみたいと思いました。

『グループホーム萌』のいいとこ発見!7

『グループホーム萌』のいいとこ発見!8

一人ひとりに寄り添ったスキルアップを大切にする振り返り研修

出東ララ 施設長 Uさん

皆さん積極的に取り組んでおられますが、こちらではどのように職員研修をされていますか?

萌 専務S

ここでは定期的に面談を設けて、普段から考えや意見を確認できる環境づくりを大切にしています。
また、新人研修をはじめ、初級・中堅・ベテランと3階層に分けた階層別研修も実施するなど、それぞれのレベルに合ったスキルアップを支援しています。

萌 介護職員 Nさん

職員一人ひとりに対して必要な研修を考えてくださるので、翌日からすぐに活かすことができます。
今まで自分に足りなかったことが身に付き、実際利用者さんに喜んでもらえると成長を実感しますし、自信にも繋がっています。

萌 専務S

忙しく日々業務を繰り返すだけでは、なかなか自分で仕事を振り返る時間は取れません。
ですから勤務時間内にじっくり研修時間を設け、今までを振り返り、自分と向き合う原点回帰の機会をつくっています。
技術の向上はもとより、悩みや不安を取り除くことで、職員のモチベーションアップに繋がることを期待しています。

出東ララ 施設長 Uさん

現場にいると、「これでいいのか?」自分を見失う時もありますよね。
管理者として様子を察して成長を支援してあげることが大切ですね。
そんな中で、職員の意欲を大切に、モチベーションを高める取り組みをされているところに感心しました。

萌 専務S

ただ、ここまで来るには時間がかかりました。
どうやったら職員が働きやすくなるか改善点を繰り返し分析し、経験者も未経験者を問わず座学と実践を踏まえた研修スタイルが確立できてからは、不安なく現場に出られるようになって離職率も減りました。

出東ララ 施設長 Uさん

特に新入職員は不安も大きいと思いますが、どんなサポートをされていますか?

萌 専務S

入って1ヶ月間は交換日記を使って1日の振り返りや、質問や不安なことを記入し、それに対して私がアドバイスを書くという形で業務を見守ります。

出東ララ 施設長 Uさん

実際に新人の時にやってみてどう感じましたか?

萌 介護職員 Sさん

言葉だと上手く伝えられないこともあるので、文章でのやり取りはすごく助かりました。
翌日には返事をいただけるので、毎日アドバイスをもとに前向きに取り組めるという安心感がありました。

出東ララ 施設長 Uさん

とても良いサポートをされていますね。
細かく丁寧に書かれた返信欄を見ると、職員を大事にされていることが伝わります。

萌 専務S

不安や悩みは早めに解消し、意欲的に取り組んでもらいたいと思っています。
面談では新人に限らず、どの職員ともじっくりと現状を確認し、本人の気持ちを尊重しながらスキルアップに向けた次の目標を一緒に考えます。

萌 介護職員 Nさん

面談を繰り返す度に改善点の再認識ができるので、明確な目標が立てやすく意欲的に取り組むことが出来ています。

VOL.05『グループホーム萌』レポート2
座談会でも話題となった交換日記

幅広く発信できるInstagramでPRの効果を実感

萌 専務S

グループホーム萌では、2022年7月からInstagramを活用した情報発信にも力を入れていて、週に2~3回の頻度で施設の行事や生活の様子を発信しています。

出東ララ 施設長 Uさん

ホームページでも情報発信をしておられますが、Instagramを活用するメリットはなんですか?

萌 専務S

Instagramでは写真だけでなく動画も気軽にアップできるので、ホームページとは違った、タイムリーな情報や日常のリアルな雰囲気をお届けすることができます。
動画だと普段の様子や笑っている姿も、より身近に感じられて嬉しいと喜ばれています。
発信を共有できるので家族や親戚とのコミュニケーションにもなっているそうです。

萌 介護職員 Sさん

また、介護以外の方にも関心を持ってもらえるように旬な話題を入れた文章を考えたり、ハッシュタグも工夫して広がりを意識した投稿を心がけています。
フォロワー数が増えたり、反応がわかると嬉しいですし励みになっています。

萌 専務S

実はInstagramを始めたことで、情報を発信するだけでなく、私たちも色々な情報が得られたり、全国の介護施設や他業種の方々とも繋がることができました。
また、もう一つはリクルートの面でも効果を感じています。職場環境や職員の様子がわかるので安心感があるようで、実際に見学や面接の問い合わせも増え、新しく3名の採用が決まりました。

出東ララ 施設長 Uさん

たくさんのメリットがあり、実際に採用にも繋がった成果があるというのは魅力的ですね。
私たちの法人内でも活用している施設はありますが、やはりプライバシー保護の観点や継続の難しさもありハードルの高さを感じていました。

萌 専務S

そうですね。
気を付けることや大変なこともありますが、こうやって成果に繋がると職員たちもやりがいを感じています。

出東ララ 施設長 Uさん

お話を伺って、幅広い方に情報を発信でき関心を持ってもらえることが素晴らしいと思いました。
私たちもこれを機にInstagramの捉え方を改めてみようと思います。

『グループホーム萌』のいいとこ発見!9

『グループホーム萌』のいいとこ発見!10

それぞれが自身を見つめ、思いを新たに介護への意気込みを誓う

最後にグループホーム萌の施設長Sさんも交えて、今回の会で感じたことを振り返ってもらった。

出東ララ 施設長 Uさん

今回はたくさんのお話を聞かせていただきありがとうございました。
利用者さんを主とした環境づくりなど、とても参考になることばかりで、施設として、また、いち職員としても、改めて多くの気づきを得ることが出来ました。

萌 専務S

こちらこそありがとうございました。
私自身も改めて振り返り、まだまだ至らない部分があることに気づき勉強になりました。

出東ララ 介護支援専門員 Aさん

Sさんは以前から勉強熱心な方だと思っていましたが、やはり素晴らしい方で、職員の皆さんから頼りにされている様子が伝わりました。
そして新人教育や職員の不安を取り除くサポートなど、とても勉強になりました。
今後、私たちの施設でも職員が気持ちよく働ける環境を整え、皆が同じ方向を目指して色々なことに取り組んでみたいです。

萌 専務S

そんな風に言っていただけると嬉しいですね。

萌 介護職員 Sさん

私も今回の会は振り返りの時間になりました。
利用者さんにとってこの場所がどんな存在か、自分はこれからどう関わっていくべきか、改めて考えるきっかけをいただきました。ありがとうございました。

萌 介護職員 Nさん

私は、最初にUさんから「静かな時が流れていて利用者さんが穏やかに過ごされている」と、言葉をいただけたことが介護職員として非常に嬉しく思いました。
これからも現状に満足せず施設長や専務の想いを汲んで、さらに良い施設にしていきたいです。

萌 専務S

施設長である母がここを立ち上げて20年目を迎えましたが、この先も10年20年続けていきたいという想いが私のモチベーションになっています。
そのためには職員の力が必要なので、こうやって二人が自信をもって堂々と話してくれたことが嬉しいですね、
成長を実感しました。
二人とも頼りにしています!
これからもよろしくお願いします。

萌 施設長Sさん

今日は皆さん貴重なお時間をありがとうございました。
私は全くの未経験で知識もないまま50代で福祉事業を始め、グループホーム萌を開所しました。
20年という歳月の中で大変なことも多かったですが、ご覧いただいた通り地域の方に恵まれ、今では皆さんに温かく受け入れられていることを実感しています。
今後も専務や職員たちが一丸となって続けていってくれることを願っています。

出東ララ 施設長 Uさん

この土地で福祉事業をしていくという覚悟と勇気、心ざまを見せていただきました。
ここで地域に密着し20年も続けてこられたことは感慨深いですし、後継者もおられて未来が輝いているなと感じました。
これを機にこれからもお互いに斐川のグループホームとしてお付き合いを続けていきましょう。

萌 専務S

ありがとうございます。
これからもぜひよろしくお願いします。
また温泉にも入りにいらしてくださいね。

座談会を終えて

『グループホーム萌』のいいとこ発見!いかがだったでしょうか?

地域に根付き、利用者さんファーストな取り組みが盛りだくさんでしたが、今回訪問したお二人と共に、グループホーム萌の皆さんも、たくさんの振り返りから新たな課題を見つけ出直すことができたようです。
そして、グループホーム出東ララのお二人は多くの気づきをお土産に持ち帰り、さらなる施設のパワーアップに繋げていかれることでしょう。

■関連リンク

グループホーム萌(有限会社 美奈須)

出東ララ(社会福祉法人 出東福祉会)