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★座談会メンバー(左から)

複合型高齢者ホーム みずほの家 通所介護事業所 生活相談員 S・Rさん
ひかわ医療生活協同組合 介護事業部副部長 T・Sさん
ひかわ医療生活協同組合 あっとホームひかわ 主任 H・Sさん
特別養護老人ホーム もくもく苑 介護部施設課長 Y・Yさん
特別養護老人ホーム いなさ園 施設長 K・Iさん
特別養護老人ホーム るんびにぃ苑 苑長 T・Tさん


介護現場の人手不足が深刻化する中、「スポットワーク」という新しい働き方が注目されています。
今回は、すでに導入している3つの施設と、導入を検討している2つの施設にお集まりいただき、
実際に使ってみて感じたメリットや課題について語っていただきました。
現場のリアルな声から、スポットワーク活用のヒントが見えてきます。

座談会

live

スポットワークを導入された背景を教えてください。

T・S

当施設の高齢者住宅で、早番・遅番の欠員が出やすく、勤務調整が本当に大変でした。
そこで試しに使ってみようと導入することになりました。

Y・Y

うちも同じく、特別養護老人ホームの早番・遅番の人手不足がきっかけでした。
ずっと時間外勤務でつないでいましたが、残業が増えて職員負担も大きくなっていました。

そこでスポットワークを使ってみようと、夕食の時間帯(17:30〜19:00)の1時間半だけお願いする形で始めました。

S・R

スポットワーカー導入前は、人手不足が大きな課題でした。
職員間で何とか回していましたが、それでも急な欠員や、勤務表の段階で“どうしても埋まらない”ところが出てきたため導入しました。
今は主に、慌ただしい午前中に来ていただいています。

live 導入を検討中の施設の方にお聞きします。
導入を考えられたきっかけを教えてください。
T・T

やはり人材不足ですね。
特に早番・遅番など日勤以外の時間帯の確保が難しく、感染症による欠員などにも対応しきれない状況がありました。
そのためスポットワークの活用を検討しています。

K・I

同じ理由です。
女性の多い職場なので、子育て期には「土日は難しい」「遅番はできない」という職員も増えています。

現場からも「スポットワークを使ってみたい」という声が出てきており、前向きに導入を検討しているところです。

live

導入にあたり、心配点などがあれば教えてください。

T・T

一番は「募集して本当に来てくれるのか?」という点です。
せっかく募集しても誰も来てくれなかったら…と考えると、不安です。

それから、どこまでの業務をお願いできるのかという“線引き”も知りたいと思っていました。

K・I

私も同じで、「人が集まるのか」と「費用面」が気になるポイントです。
「募集をかけて埋まらなかったら、職員が余計にがっかりするのでは」という心配もあります。

live

実際に導入してみて、どうでしたか?(導入施設の声)

T・S

導入直後の4月は2週間待っても応募がありませんでしたが、10月に再度募集した際はすぐにマッチングしました。
医療の方でもこの2か月で40件ほど依頼しましたが、ほぼすべて埋まっています。

Y・Y

導入前は「どんな人が来るのか」「そもそも来るのか」と不安でしたが、思った以上に応募があり驚きました。
近隣に住む方や看護師さんが短時間で入ってくれることも多く、全体としては順調にマッチングしています。
最初に来てくれた方が後に職員として入職するという嬉しいご縁もありました。

S・R

どの程度仕事を頼めるのかなどの不安はありましたが、
リピートが多い方などは相手の仕事ぶりも分かってきますし、採用に至ったケースもあります。
勤務表を作る際に「この日はスポットワーカーの人を1名入れる前提」で考えることもありますが、
“絶対に来る” わけではないので、あくまで負担軽減のためのプラス1名として考えるのが良いと思います。

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live スポットワーカーさんには、具体的にどんな業務をお願いしていますか?
S・R

お願いするのは、食事介助や口腔ケア、イベントのサポートなどが中心です。

いくら経験者といっても、最初は業務の流れも、利用者さんの状態も分からないので、まずは業務の流れや施設内の動線、
「どの利用者さんにどんな介助が必要か」を大まかに説明し、そのうえで関わっていただきます。

Y・Y

うちは1時間半と短いので、夕食介助と移乗介助、片づけがメインです。

初めて来られる方には、担当してもらう利用者さんの状態や、食事介助・移乗介助の注意点をサッとお伝えして、
あとは職員が周りで見守りながらフォローしています。

H・S

うちは“未経験可”で募集をかけているので、介護業務はお願いしていません。

洗濯物干し、食事前のお茶準備、見守り、下膳・配膳…といった内容です。
職員が一緒に動きながら、毎回丁寧に説明するようにしています。

live

スポットワークを導入してみて、「良かった」と感じた点は?

T・S

片づけや洗い物などをお願いすることで、
介護福祉士・看護師など専門職が“本来の専門的な業務”に集中できるようになりました。

費用面でも、職種ごとに時給を分けているので、バランス良く運用できています。

H・S

スポットワーカーさんは、いろいろな職場を経験しておられるからか、声かけが本当に上手なんです。
お茶を配るときも、一人ひとりに丁寧に声をかけてくださって。
職員もそれを見て、「こういう声かけ、大事だったよね」と初心に帰るきっかけになりました。

人手不足の穴埋めだけでなく、ケアの質や職員の意識にとっても良い刺激になります。

Y・Y

コロナ以降、ご家族など外部の目が施設に入る機会が減っています。
スポットワーカーさんが来てくださることは、職員にとって良い意味での緊張感に繋がっていると感じます。
同じケアをするにしても、「見られている」という意識があるほうが、やはり丁寧になりますよね。

S・R

スポットワークは、採用の“入口”としても大きいと感じています。
いきなり面接して採用するより、「短時間一緒に働いてみて、お互いを知ってから決める」ので、ミスマッチが少ないんです。
実際、正社員2名・パート数名がスポットワーカー経由で入職しています。

live 反対に、運用してみて難しさを感じる場面はありましたか?
H・S

最初に戸惑ったのは、QRコードを読み込んでログインする操作でした。
ワーカーさんも職員も慣れておらず、スムーズに始められないことがありました。

S・R

うちも同じでしたよ。
今は建物内にQRコードを常時掲示して対応しています。

困るのは急なキャンセルですね。
事前連絡なら助かりますが、当日のドタキャンはかなり影響が出ます。

Y・Y

うちは名札の裏にQRコードを入れてお渡しするようにしています。

業務面でいうと、「食事介助ならできるかな」と来られた方が、
移乗介助などで大変さを感じて「思っていた仕事と違った」と感じられたこともありました。
初めての方にはなるべく負担のない利用者さんをお願いしているつもりですが、
そのときどきで「難しかった」と感じる方もおられると思います。

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live 受け入れ時のマニュアルや準備はどうされていますか?
H・S

マニュアルは作っていませんが、お願いする業務を箇条書きにして紙でお渡ししています。
現場では職員が付き添い、その場で説明しながら進めてもらっています。

Y・Y

うちは1時間半だけなので、初めて来る方へは丁寧に説明し、
困らないように見守ってあげてください、と職員に伝える程度で、特別な準備はしていません。

S・R

うちもマニュアルはありません。
初めての方は分からないことが多いので、積極的に声をかけ、働きやすい雰囲気づくりを重視しています。
また「今回はこの業務をお願いする」と社内メールで共有し、職員間で認識をそろえるようにしています。

live

今後の活用の広げ方についてはどうお考えですか?

S・R

4時間勤務でお願いしていますが『手が空いてしまう時間』が出てしまうこともあるので、
今後は早番・遅番など、より短時間の募集も検討したいと思っています。

T・S

記念式典の準備など、イベント時にもお願いできたなと今になって思います。
今後は、行事や特別な日の応援などにも幅を広げていきたいですね。

Y・Y

私も皆さんのお話を伺って、イベント時など人手が必要な場面では、
もう少し長い時間でお願いする方法も良さそうだと感じています。

live

これから導入を検討している事業所さんへ、ひと言ずつお願いします。

S・R

最初は不安でしたが、やってみると「助かった」と思う場面が多く、今では勤務表にも組み込んでいます。
介護から離れた方が戻る“きっかけ”にもなりますし、まずは少しずつ試してみることをおすすめします。

Y・Y

導入するなら、説明しやすく応援もつけやすい「遅番」から始めるのが良いと思います。
新しい取り組みには慎重になりがちですが、そこから新しい出会いや働き方の広がりが生まれます。
「まずはやってみる」という姿勢が大事かなと思います。

H・S

「この地域に本当に来るの?」と思っていましたが、今は朝から夜まで、さまざまな時間帯で来てもらえています。
お願いする内容を明確にして丁寧に伝えれば、未経験の方でも戦力になってくれます。
職員にとっても初心を思い出す良い機会になり、利用者さんの笑顔も増えたと感じています。

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導入を検討する立場として、今日の話を聞いて感じたことは?

K・I

スポットワークは人手不足の解消だけでなく、職員が自分の業務を見直すきっかけにもなるのだと、今日のお話を伺って感じました。
“ここで働きたい”と思ってくれる方との出会いにつながる可能性もありますし、前向きに導入を進めていきたいと思います。

T・T

私も、スポットワーカーは単なる穴埋めではなく、“ケアの質を支えるしくみ”にもなり得ると実感しました。
本当はやりたいケアがあるのに、人手不足で実現できない、そんな場面でスポットワークを活用することで、
ジレンマを解消し、新しい可能性を広げていけるのではないかと思っています。

お話の中では、「インターンシップ的な使い方もできるのでは」「施設の魅力を知ってもらう広告的な役割もあるのでは」といった前向きな視点も生まれました。
スポットワークは、その活用次第で現場に新しい風をもたらし、働き方やケアの質にも良い変化を生み出す可能性があります。
今回の座談会を通して、その未来が少しずつ見えてきたように思いました。